posted by はなもゆ えな
at 01:54:32 │
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鉛色の空から、雨は細く、冷たく降る。
雨は嫌いだ。じっとりと肌に纏わりつく湿り気が、心まで染み込んで気分を重くするようだから。
傘をさしてはいたものの、何しろ偉丈夫と呼んで遜色ない体躯のビショップである、その体を覆い尽くせるはずもない。肩はすっかり雨に濡れてしまっていた。
早く家に帰って、からりと乾いた服に着替えてしまいたい。
そう思っていたのに、ビショップは我が家の前で急に足をとめた。深い緑の瞳が一瞬動揺に揺れる。
「それ」は彼の家の門の前に、まるで物のようにうずくまっていた。
青い衣はすっかり水をすって、ぐっしょりと重そうに濡れている。…ネクロマンサーだ。鉄格子のような奇妙な覆面には見覚えがある。
(…子供?)
所在げなく座りこんだネクロマンサーの体は小さく、ひどく幼く見えた。
一体どれほどの間そこにいたのだろう。厚手の生地は、絞れば濡らした雑巾程に水を滴らせそうだ。
そばで膝をついても、気づく様子もない。既に力尽きたのだろう。降りしきる氷雨は彼の体力を容赦なく奪ったはずだ。
このネクロマンサーが誰なのか、ビショップは知らない。そして、知らない人間を簡単に家に上げるほど、ビショップは迂闊な性格ではなかった。
けれど。
抱き上げてみた体は思っていたより少し重い。邪魔になった傘は地面に置いた。にわかに、水滴がビショップの体をも叩き、体を濡らしていく。
この小さな存在をすくい上げてやらなければ。本能にも似た使命感がごく自然に彼を動かした。ビショップは極めて穏やかな心でネクロマンサーの保護を決めたのである。
雨は細く、冷たく降る。ならば傘を差してあげよう。雨風をしのげる屋根を貸そう。
この出会いが後に自らの人生に大きく関わることを、この時点でビショップはまだ知らない。
* * * * * * *
前に書いた「羽毛布団」の二人の過去話です。
「良い人過ぎて、犬猫みたいに人も拾ってきちゃうBIS」が書きたかっただけとも言いますね^^
もしかしたら続くかもしれないです。
あ、氷雨(ひさめ)っていうのは、RSではアチャスキルのウォーターフォールの事ですが、もともとは「氷のように冷たい雨」っていう意味らしいです。詩的ですね。それに、確かに「滝アチャ」よりは「氷雨アチャ」の方がかっこいいです><
眠いです。寝ます。
ではまたノシシ

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posted by はなもゆ えな
at 00:35:13 │
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不純な理由で魔法を使った罰が当たったらしい。
(もとに戻らない)
わたしの時間は幼い姿のまま止まってしまった。
シ ン デ レ ラ

「エレーネ」
「なぁに」
ついこの間までのはしゃぎっぷりに反して、窓の外を眺める少女の返事はそっけない。
「準備はいいの?お城のパーティーは今日じゃない」
「いいの」
頬杖をついて、退屈そうに。彼女は振り向きもせずに断じた。
「…どうして?」
パーティーが始まるのは日が沈んだ時からだ。開け放った窓から涼しい風が吹き込んでくる。西に傾いた真っ赤な夕陽に染められて、長い金髪がきらきらと輝いた。
「王子様はロリコンだから、私はもう制限オーバーなの」
それは冗談なのか。一心に小麦畑の向こうを見つめる背中があまりに無口だから笑えなかった。
「…じゃあ、お姉ちゃん行くからね」
「うん。いってらっしゃい」
馬車の中から家を振り返ると、妹は不思議なくらい落ち着いた目で、夕陽を見ていた。
全く計算外だった。
(王子様がロリコンだなんて)
もうすっかり日は沈み、パーティー開始の花火が打ち上げられるのを見送って半刻。
新調したドレスも無駄になってしまった。どんなに綺麗に着飾っても、王子様の趣味に合わないなら仕方ない。選ばれないのが分かっているのに、パーティーに行ったって無駄に期待してしまうだけだ。そのぐらいなら自分から諦めた方がずっと良い。
(暇だわ)
父は冒険に出かけたまま帰ってこない。母も姉もいそいそとパーティーに出かけて行った。今この家にいるのはエレーネだけだ。普段はにぎやかなこの家も、誰もいないと流石に物音一つしない。
(…片づけでも、しようかな)
今夜はビガプール中の女の子が期待に胸を膨らませ、着飾ってお城に集っているのだろう。そんな日に家で一人、掃除をするわたし。まるで月とすっぽんだ。シュールすぎて泣けてくる。
(かなしくなんかないのに)
王子様はイケメンだから、一目見て恋をする女の子なんてきっと掃いて捨てるほどいる。エレーネだってそのうちの一人だ。特別な何かなんてない。たった一輪の薔薇のことなんて、王子様だって忘れているだろう。
〈…ありがとう〉
差し出した薔薇をそう言って受け取ってくれた。棘で傷だらけになった手に、薬を塗りこんでくれた。あのパレードの日王子様の胸で咲いていたあの薔薇は確かに、わたしが育てたのだ。
(かなしくなんか、ない)
ぐいっと袖で目元を拭う。涙じゃない。ちょっと水が漏れてきただけだ。
気を紛らわそうとしてごしごし棚の下を拭いて、身を起こそうとしたら思い切り頭をぶつけた。痛い。
「あ、」
…ついてない。上から落ちてきた荷物に追撃を食らうなんて。
埃っぽくて咳が出る。お母さん、相変わらず掃除苦手なんだから。よく分からない本や箱に埋もれそうだ。目を開けてふと一つの箱に目が止まった。
「…なんだろ、これ」
日が沈む前の、澄みきった空の深い青のような。あるいは、空から降り注ぐ星の光の青のような。綺麗な青。それが灰まじりの白い埃の下から、覗いている。手にとって雑巾で拭いてみると、拭いたところから美しい青が現われる。その青に金色で繊細な意匠が凝らされているのが分かった。
何か文字が書かれている。古い言葉だ。うろ覚えの記憶を掘り起こす。
「…シャ、イン…スィング?」
箱を開けようとするが、金具が錆びついていて中々動かない。どれだけ長い間放置されていたのか。ばちんっという音とともに金具が外れた時、エレーネは肩で息をしていた。
蓋のそれは頑なだった割に、蝶番は滑らかだった。蓋を持ち上げると、驚くほど容易に箱は開いた。隙間からきらきらと光が漏れてくる。目線が吸い寄せられる。中に入っていたのは、見たことも無いほど綺麗なワンドだった。
手にとって振ってみると、金色の光が燐粉のように散って軌跡を残す。溢れんばかりの星の力を感じる。
「…すごい」
母が魔女だったというのは、本当だったらしい。わたしにも魔法が使えるだろうか。できるかもしれない。このワンドなら。
そんな風に考えたのが、最初から間違いだったんだろう。
だけどそんな事思いもしなかった。
だって、わたしは王子様が好きだったから。
(あの子)
妹に似ている。女神の祝福を受けたような金髪。ちょっと生意気そうな表情。
いや。似ているのじゃない。
(あの子はエレーネだわ)
堂々と歩いてくる幼い少女。エレーネはもう年頃だ。そんなはずはないのに、姉は確信していた。
なぜなら、少女が纏う真っ赤なドレスには、彼女がエレーネのためだけに縫ったのと同じ刺しゅうが施されていたのだから。
posted by はなもゆ えな
at 00:38:45 │
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誰もいなくなったギルドホールで、ぽつり、座っている。
始めから知ってた。
始めから分かってた。
僕らを繋いでいたのは、たった一本のコードで。
電源を切れば、世界は閉じて。
誰もいなくなったギルドホールで、ひとり、座っている。
始めから知ってた。
始めから分かってた。
はず、なのに。
誰もいなくなったギルドホールで、ぽつり、座っている。
『いっしょうけんめいはしった でも おいつけなかった』
ああ、ずるいよ、ジョバンニは。
カムパネルラは、ザネリを置いて行ってしまった。
ザネリも一緒に行きたかった。銀河よりもっとずっと遠いところへ。
誰もいないギルドホール、ぽつり、おいてけぼりの ザネリ 。
*
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』が好きです。
冬の、冷たい、澄んだ空気の底で満天の星空を眺めている。
寝転がった土の感触。たった一人の天体観測。
肌が凍えそうになりながら、ああ、自分は一人なのだなあ、と
静かに悟るような切なさ。
ザネリは、カムパネルラの腰ぎんちゃくで、いつもジョバンニをからかっていた子です。そのザネリが実は女の子だったのじゃないか、という説があるのはご存知ですか?
『銀河鉄道の夜』の主人公はジョバンニとカムパネルラですが、私はザネリの視点で考えてみるのも好きです。小さい男の子が、好きな子をいじめてしまうというのはよくある話ですが、その逆があっても良いと思いませんか(´ー`
上の小説は、所属していたギルドが活動を停止してしまって、誰もINする人がいないのに、そのギルドが好きだったので、つい「誰か来ないかな」なんて、ギルホで人を待ってしまう。という設定で書きました(´ー`
↓以下「銀河鉄道の夜」ネタバレなので暗転
ザネリはカムパネルラが好きだけど、カムパネルラの「特別」はジョバンニだけ。ザネリはジョバンニが羨ましくて、妬ましくて、でもジョバンニの事も好きなんです。「皆は追いつけなかったよ。ザネリも一生懸命走った。けれど、追いつけなかった」という内容がカムパネルラのセリフにありますが、ザネリはカムパネルラに追いつきたかった。どこまでも一緒が良い。でも、ずっと一緒にはいられない。溺れかけた自分を助けて、逆にカムパネルラが流されてしまって、そのカムパネルラと一緒に行けたのはジョバンニだけ。自分はいつも、蚊帳の外。そんなザネリの寂しさが好きです。
『銀河鉄道の夜』の絵本で、ビーズ刺しゅうで作ったものが話題になってましたね(´ー`
すごく綺麗なものみたいなので、次のお給料日に思い切って買ってみようかと思います。
数日前からRSにIN出来てないので、RSのネタがなくてごめんなさい(´;ω;`)
19日の記事で、化身ブログ♪のチリさんに予告通りブログを紹介して頂きましたーw どうもありがとうございます(*゜ω゜*)
チリさんはGvでも滅多に死なない方で、いつもアスヒに助けられてます(*´ω`*) Gvや攻城戦の出来事をメインに書いてらっしゃる楽しいブログさんですので、是非覗いてみてくださいませ(はぁと
・・・とりあえず宣伝返ししてみましたが、果たして効果があるのか・・・w

posted by はなもゆ えな
at 14:16:48 │
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こんにちはー、もゆもゆです。今日ものったりと過ごしております。
とりあえず絵日記機能のテストです>< 落書きですみませんw
*
急須から湯呑に熱いお茶を注ぐと、新茶にふさわしい良い薫りが鼻孔を擽る。あ、茶柱。こっちの湯呑は悪魔さんにあげよう。小さな幸福をみつけて、心がほっこりと温まる。揃いの湯呑を丸いお盆にのせて、天使はお勝手と居間を仕切るのれんをくぐった。
「悪魔さーん、お茶入ったよー」
声をかけると、案の定悪魔はテレビを眺めながらお煎餅を齧っていた。頬杖までして、いかにも時間をもてあましている。
「はい、どうぞ」
「ん」
こたつの上に一旦置いてから、悪魔のもとまですすっと湯呑を滑らせる。無論手で、である。こたつの上でホッケーをするつもりはない。自分もこたつに足をいれてずずっとお茶をすすると、ああ、流石に新茶は美味しい。ちょっと奮発して良いお茶を買って良かった。
穏やかな夜更けに爆弾が落とされたのは、家事をひとしきり終えた天使が、ほっと気を抜いた瞬間だった。
「…羽毛布団、欲しいわねぇ…」
(!?)
ぎょっとして悪魔を見ると、彼女は素知らぬ様子でテレビを眺めている。CMまで真剣に見つめてどうするのか。追放天使の自分の前でそんなことを口にするというのは、やはり「そういう」ことなのだろうか?
(もうすでに四分の一ないのに…!?)
天使の困惑と葛藤をよそに、悪魔は呑気にお茶に手を伸ばす。
「あ、茶柱」
天使の方はもう茶柱どころの問題ではない。その晩、悪魔がお茶をすすり始めても、天使の心に平穏が戻ることはなかった。

posted by はなもゆ えな
at 00:48:38 │
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こんばんわー、もゆもゆです。本日四度目の更新になります。「のったりしております」なんて書いても信用できない頻度になってきましたね(*´艸`)
ペース配分考えないといけないかなぁ?なんて思ったりはするのですが、一度書くことに慣れてしまうと、今まで脳内だけで考えていた設定があれもこれもと出てきてしまってw
今までブログは続いたためしがないので、ブログの設定を弄るにもわからないことだらけです(ノ∀`゜)゜゜+。
色々試行錯誤しながら書いております。⇒にプラグインを表示させる事が出来るのも昨日の夜中に知りました><
タイトルは意味深っぽいですが、実際の所特に深い意味もなければ記事の内容と関係も無かったりします(゜ω゜)w
私はコンビニでアルバイトしているんですが、大抵のコンビニだとタバコにはそれぞれ番号がついてるじゃないですか。その番号が、私のバイト先のコンビニでは168までなんです。168が最後→168は最果ての数字、という安直な発想です><w
ちなみに、私はタバコの位置が変わっても大体は把握できるのですが、「フロンティア」だけはどうしても把握できません。どうしても「フィリップモリス」とイメージが被ってしまって、「フロンティア」を頼まれた時だけお取りするのに時間がかかってしまいます(´;ω;`)
簡単に覚えられる方法があれば良いのですけどもε-(´д` )
*
「陛下、道はこちらですわ」
湖の方を見つめて動かない鎧骸骨の笠にそっと触れて、ネビリムは魔王を促した。ネビリムの腰ほどにしか背丈が無い体は、頭にも容易に手が届く。昔は恐れ多くて、「頭に手が届くかどうか」なんて試してみたこともなかったが。
心なしか名残惜しそうに湖を見ていた鎧骸骨は、やがてふらふらと、どことなく危ういバランスで歩き始める。その、深紅に染まった体。美しい紅い色は、あの日ネビリムが魅入られた月と同じ色をしている。
当然のように繊細な体は、戦うには余りに脆い。攻撃を受ければ、がしゃん、と騒音を立てて崩れ落ちてしまうその体。そこに、かつての偉大な魔王としての名残はない。それでもネビリムは良かった。強さだけがこの方の全てではない。そんな理由でこの方に従ってきたわけではない。
再び起き上がっては、よろよろとネビリムを守ろうとする。その度にまた砕かれても、その度にまた彼は立ちあがる。以前は威圧的な雰囲気ばかりが目立つ方だったが、変わらない優しさは姿かたちが変容した今になって、やっとまっすぐに現われるようになったと思う。
物を言わないのは昔からだ。言葉が交わせなくてもネビリムは充分だった。気持ちが通じ合っている自信はある。アンデッドとなった主に未だ忠誠を誓うなど、昔の自分が見たら嘲笑するだろう。「そんなの何の得になるのよ、馬鹿みたい」と。
(そうね、馬鹿なのかもしれない)
湖の上を滑って吹きつける涼しい風に、僅かに鳥肌が立つ。すこし冷えてきたかもしれない。
「今夜は冷えますわね。陛下、どこか宿を探しましょうか」
そっと手を握って、ネビリムは微笑んだ。鎧骸骨の両手は鋭い刀になっているが、なに、その為の丈夫な手袋である。
でも、恋をしたら誰だって馬鹿になるだろう。四六時中相手のことを考えてみたり、無理に束縛しようとしたり、急に泣きたいような気持になったり。人間は何百年も前から、そうやって進歩もなく一喜一憂する。何百年生きた悪魔でも恋をすることはあるのだ。
ふと振り返ると、湖には綺麗な、紅い月がぽっかりと浮かんでいた。
*
悪魔の「ネビリム」という名前は、テイルズオブジアビスの某先生から頂いた名前です。美人ですよね(*´∀`*)
ネビリムがつれている赤い鎧骸骨の名前を、「紅月の魔王」といいます。魔王さまですから、当然ネビリムよりも偉いのですが、その魔王さまをネビリムがペットにして連れて歩いてるのには色々深いわけがあるのです。
その話は、また別の機会に。 ではではー(*´∀`*)ノシシ
